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十牛図(授戒編)⑩

2026.02.28

十牛図の十 入垂手(にってんすいしゅ)

童子は、布袋さまの様な僧侶に変わっています。

町に出て、人と接している場面が描かれています。

これまでに描かれた絵と比べて、かなり現実的です。

禅では好んでこの絵も描かれますが、これは禅では最高の境地を表しているからです。

鄽とは人々の行き交う町の事で、垂手とは人々を教え導き、救いの手を差し伸べるという意味になります。

垂手は、元々はお釈迦さまの相で、何の形もとらないのに、人々はその教えに自然に教化された事を示しています。

この図は、山をおりて町に入り、町の人に気軽に声をかけるだけで、悟りが人に伝えられるようになった状態を表しているのです。

悟りを開いても、禅の世界に閉じこもっていては不十分です。

平凡な日常の生活に生かされてこそ、悟りの意義もあるのです。

自由自在な境地を持った禅者が人々と接し、人々が救われる事が、仏法の究極の目標なのです。

こうした慈悲の心を持った禅者は、仏という存在そのものなのです。

最終図には、このような意味が込められています。

この悟りの状態を禅独特の言い方では「見性成仏」といいます。

これは自分の本性は仏であり、それが身に付いた状態の事で、禅ではこの境地を目指すのです。

その方法が「直指人心」です。「他に眼を向けず、自分の心を真っ直ぐにすっきりと見なさい。そうすれば自分は仏である事がわかる」という意味になります。

禅の特徴は、第二図見跡でお話しました「不立文字」「教外別伝」と、この「直指人心」「見性成仏」という四つの言葉に集約されるのです。

禅の基本となるもので、これを「達磨の四聖句」といいます。

結びに、袋からは相手に応じて様々なものが出てくるのです。

これがあるべき姿であり、「上求菩提 下化衆生」といい、自己の完成を果たした今、彼は他者の救済に生きようとしているのです。

坐禅をして悟りを開いたお釈迦さまの生き方そのものを表しているのです。

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