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十牛図(授戒編)➇

2025.12.28

十牛図の八 人牛倶忘(にんぎゅうぐぼう)

牛の事を忘れ去ったばかりか、ここには童子の姿さえ見えません。あるのは、ただ空白な円が一つだけです。

十牛図中の佳境といえる場面になります。

これは仏教の真理である「空」を示しています。「空一円相」といわれ、禅の僧が好んで用いる図です。

「空」には色々な解釈があり、表現する事が難しくありますが、「この世にあるものはすべて因縁で生まれてきた。だから実体はない」というのがおおよその意味になります。

つまり、人間でいえば自我がない状態です。自我は自意識と言い換えたほうが本来の意味に近いかもしれません。

何につけても「私が・・」という気持ちが先に立つ事です。

ではなぜ、本来の自己さえ消え去った「空」の世界が描かれているのでしょうか。

これは自我を捨てて、無我の境地に入る必要性を説いているのです。

自我の意識があるうちは、まだ迷う危険性が残されています。

自分は厳しい修行を積んだ、他人によいことをしてあげた、などという意識が頭をもたげかねません。

自我意識を捨て、空の世界に遊び、更にそこから自分の姿をも消し去ったのが、この空一円相なのです。

お気づきでしょうか。一円相は、悟りの境地を表現している訳ですが、一円相は、ここで初めて登場したのではないのです。

十枚すべてに描かれていて、すべては悟りの世界の中での出来事なのです。

私たちは既に、悟りという宝の世界の中で生活していたのであります。

牛と童子がいない事で、一円相の存在に気づく事が出来たのです。

戒師さまから授かる血脈は、釈迦牟尼仏大和尚さまの頂上にある一円相を相承した証になります。

 

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