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十牛図(授戒編)➃

2025.08.28

十牛図の四 得牛(とくぎゅう)

「よし、牛がいたぞ、それっ」と童子はついに牛に追いつき、手綱をかけましたが、牛は逃げ出そうともがきます。

牛の力は強く、童子も手綱を精一杯引っ張っています。

まだはっきりとわからない本来の自己の正体を、自分のものにするには努力が必要です。

ですから本来の自己と、それを求める自己の間には、ピーンと張り詰めた緊張感がみなぎっているのです。

手綱を引く手の力を抜けば、すぐに牛は逃げてしまいます。

姿を現した本来の自己も、それを求める緊張感を失えば、すぐに姿を隠してしまいます。

お釈迦さまの悟りは「三宝印」と呼ばれ、仏教の基本となる「諸行無常」「諸法無我」「涅槃寂静」の三つです。

「諸行無常」とは「すべてのものは時間とともに変化する」という意味で、例えば私たちも、生まれ、育ち、老いていく事です。

「諸法無我」とは「すべてのものに決まった実体はない」という意味です。

法とは私たちの世界の事で、ここではすべてが因、縁、果の過程で動いています。

例えば、誰かと知り合う(因)、感情が動く(縁)、その結果、愛するようになるのか憎むようになるのか(果)は、縁の働きかた次第なのです。

「涅槃寂静」の涅槃は煩悩のなくなった状態の事です。

従って、「悟りの境地は静けさに満ちた素晴らしいところ」と理解していただければと思います。

加行によって、自分の心の在り方次第で、仏にも凡夫にも成る事が出来るのだと気づいた状態をいいます。

しかし、自分の心の中には煩悩や迷い、欲望も渦巻いています。

戒師さまに導いていただいているが、最終的に自分と自分との闘いであるのです。

 

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